2011年02月
【ハウリング】
補聴器に対するマイナスのイメージとして、『ハウリング』があります。
ツイッターしている演奏家の方に教わったのですが、最近のコンサートでは、演奏前に「補聴器をお使いのお客様は、音が外に漏れないよう、機器の調整を今一度お確かめください。」と、アナウンスが流れるとのことです。演奏中、ずっと「ピーピー」鳴りっ放しで、しかもご本人は気がつかれない傾向があるため、携帯に加えて補聴器が注意事項に加わったとのことです。。。
アメリカでは、ディズニー映画 『カールじいさんの空飛ぶ家』が、補聴器のイメージを端的に物語っていますね。この映画は、ストーリーとしては面白かったですが、主人公のカールじいさんがキチンと合ってない補聴器をしていて、ストーリーの中で4~5回、補聴器がハウリングするシーンがあり、その都度、自分でボリュームを下げて調整していました。
【ハウリングの原因】
ハウリングとは、マイクにより得られた音声信号をアンプで増幅し、スピーカーから出力する際に起こります。スピーカーからの出力の一部が、マイクに帰還されたことにより生ずる発振現象です。マイク、アンプ、スピーカー、音声、マイクという経路をたどる正帰還が原因であることから、アメリカでは「フィードバック(positive feed-back)」と呼ばれています。カラオケで歌う際も良く起こりますね。補聴器も高出力になるほど、ハウリングの可能性は高まります。
【対処法】
補聴器での対処法は、以下2つです。
A.ゲイン(音増幅)
B.シェル(耳型・耳栓など)
ゲインを下げ、シェルからの音漏れを防ぐことで、解消されます。
デジタル補聴器には、ハウリング抑制機能(DFS=Digital feedback supression)がありますが、ゲイン減衰と同じです。
ハウリング成分を特定して、その逆位相信号を入れて、解消する処理方法もありますが、実は特性を測ってみると、出力はギザギザの特性になる=即ち、ゲインが下がっているのです。この位相処理で、通常よりも音増幅を得られる利点もある一方、処理に時間差が生じたり(瞬時には無理)、周りの音環境をハウリングと誤認したり、音(声)が歪むことにも繋がります。
また抑制機能をONにした時は、絶えずハウリング音を探知し、或いは逆位相信号を出すことになります。すなわち電池消費も多くなります。当然、ハウリングしている間も、大量に電池を消費します。
【フィッティング】
「周りに迷惑を掛けたくない」から補聴器をされるお客様も多いのに、この状況は悲しいですよね。ハウリングは、お客様にとっても迷惑この上ありません。お使いの補聴器のハウリングがひどいのは、販売店のフィッティング技術に原因がある可能性が高いです。
装着後の補聴器に手を翳すと音が手に反射してハウリングしやすくなるので、この状態で阻止できれば、ハウリングを未然に防ぐ可能性が高いです。(聴力や補聴器出力にもよりますが)
また、自分でボリューム調整をされる場合も、ハウリングしやすいようです。ボリュームを大きくしたからと言って、ハッキリ分かる訳ではないでく、むしろ過度なゲイン増幅は、明瞭度を下げるばかりか、ハウリングの可能性までも高めてしまいます。
弊社のフィッティングでは、お客様がボリューム調整を極力しなくても済むよう設定しております。またMCLフィッティングによって、お客様の快適なレベルに合うように調整を心掛けております。
補聴器で、明るく幸せになって欲しい。。。
【岡山かなりや学園】
岡山は、以前ブログでご紹介したように福祉制度が充実しております。
http://chg.ldblog.jp/archives/2396337.html
そして岡山市内には、全国初の難聴乳幼児向け通園施設「岡山かなりや学園」があります。
山陽新聞社:岡山医療ガイド(2005/7/4)記事から転載します。
【転載開始】
難聴乳幼児支えて30年 岡山かなりや学園
検査普及などで早期発見増加 施設への期待高まる
全国初の難聴乳幼児向け通園施設「岡山かなりや学園」(岡山市西古松)が今年、創設30年を迎えた。零歳から小学校入学前まで、これまでに600人を超す子どもの言葉の発達を支援。医療技術の向上や新生児聴覚検査の普及などで難聴が見つかる年齢は下がっており、施設への期待は一層高まっている。
「お茶をどうぞ」「ありがとう」…。両耳に補聴器をつけた二、三歳児が、残った聴力と唇の動きを読む「口話」、手話を組み合わせながら、職員や母親とままごと遊びを楽しむ。言葉を覚える訓練の一環だ。
生後直後に難聴と分かった女児(3つ)の母親(31)=岡山市=は「早くから指導を受けてきたので、特に支障もなく会話できる」と言う。
岡山かなりや学園は1975年4月、故高原滋夫岡山大名誉教授を中心に設立された。それより15年前、岡山市の内山下小学校(当時)に設けた全国初の『難聴学級』で、「小児難聴は、より早い段階から気付いて療育する必要がある」と痛感したのがきっかけだったという。
開園以来、岡山大医学部と連携して訓練に取り組み、個人に加え、年齢や難聴の程度に応じたグループ別指導も取り入れてきました。グループ指導では、おしゃべりや音楽に合わせて体を動かすリズム遊びなどを通じてコミュニケーション方法を教えている。難聴への保護者の理解を助ける講習会も開いている。
30年間で644人が通園訓練を受け、通園の入り口となる外来診察には3815人が訪れた。現在は子ども46人に対し、言語聴覚士や医師、栄養士ら計20人のスタッフが支援に当たる。
1000人に1~2人とされる先天性難聴について、県内では早期発見に向けた体制が整いつつある。県は2001年7月、産科を持つ医療機関に呼び掛け、新生児聴覚検査をスタート。今では県内の全新生児の約75%が検査を受けられる。小学校入学以前での療育の需要が高まる中、県内唯一の難聴幼児通園施設の岡山かなりや学園が担う役割は大きい。
~転載終わり~
本当に尊いお仕事ですね
岡山かなりや学園ホームページはこちらから
弊社お客様より寄せられた
補聴器にまつわるお便りを、ご紹介いたします。
本日は 岡山市 山根 琴子さま のエピソードです。
~甦った私の耳~
耳が聞こえにくくなって、時も流れる位経った頃、耳鼻科の名医と云われる先生に診察に行きましたが、貴女の耳はボロボロと云われ、泣きたい気持ちになって落ち込みました。
そのうち軽い脳梗塞、メニエルと云われ、内科の先生の紹介で耳鼻科へ、云われる通り3年通院しましたが変わりなく、補聴器を紹介して頂きましたが1週間お借りしましたが付けると頭が痛く、でも少しは辛抱し慣れたらと思いましたが、余計気分悪く諦めました。電話がかかって名前を何度も云われてもはっきりと聞き取れなく申し訳ない気分。会合などに行っても一番前の席で、マイクで話をされる時はよく聞こえてましたが終いにはマイクの話も正確に聞こえなく、電話かかってきてもどうしようと、ストレスを感じ・・・
仕方なくもう1度耳鼻科へ診察に行き、補聴器を付けたら、聞こえますと云われたので嬉しい気持ちと不安な気持ちで、中国補聴器センターへ行きました。
丁寧な女性の方がいろいろ調べて下さり、いろいろの検査記録で私にしか使えない補聴器を作ってくださり、私にとっては高額でしたが実際によく聞こえるだろうかと心配でしたが、帰る時も車の音が大きくなってテレビを付けると丁度NHKの女性アナウンサーの物語、今までボリューム25~30位して聞いていましたが、18にして驚く程よく聞こえ、ありがたい気持ちで一杯。
水道の水の出る音、お湯の湧く音よく聞こえ、今迄後へ車が進んでいても分からない。気がついて迷惑をお掛けしたと頭を下げ、一つ間違えば事故へ繋がっていたと思う。
聞こえないと云う事が、いかに大変な事。今では毎日感謝して使っております。改めて諦めずに、補聴器を付けた事に喜びで一杯です。本当にありがとうございました。
感謝
機関誌『FITTING』
【記念すべき創刊号】
この機関誌の創刊号は、1988年10月1日。
今のJHDA(日本補聴器販売店協会)の前身に当たる全国補聴器販売店協会から発行されました。現在、補聴器業界の機関誌として広く読まれている冊子は、ここから始まりました。
弊社会長は初代編集委員長に就任し、多数執筆して機関紙の充実に努めました。
No.3号(1989.4.1発行)から活動。
補聴器技術解説ページを設け「イヤモールドについて」を執筆した。
No.4では「望まれる補聴器販売」を執筆。
ちなみに、この全国補聴器販売店協会は、1988年1月に全国各地方から設立世話人が集まった所から始まり、そして同年4月6日に設立総会が開かれ発足しました。弊社会長も設立準備委員として、また設立総会から役員・理事として、参画しておりました。補聴器業界の黎明期から資格制度など、多岐に渡って貢献してきました。
㈱中国補聴器センタ...