弊社お客様より寄せられた
補聴器にまつわるお便りを、ご紹介いたします。
本日は 岡山市 石黒 章子さま からの心温まるエピソードです。
~会陽の思い出~
50数年前 父と二人で
西大寺の会陽に行ったことがある。
父は京都育ちで晩年は友人とよく碁を打っていた。
勝った時には「カッタ カッタと下駄の音」と
嬉しそうに云って、囲碁を楽しむ静かな人でした。
優しくて大好きな父でしたが、
父と一緒に外出することを私は好まなかった。
父は耳が悪く、若かった私は、
人前で大きな声で話すのが恥ずかしく
その時もほとんど口を利かなかった。
けれどもこの時のことは
心の奥深く鮮明に記憶していて
毎年会陽の頃になると、
あの物凄い迫力と父と二人で行った時のことを
懐かしく思い出している。
今は私が父のその時の年齢も過ぎ、
父と同じように耳の聴こえが悪く
補聴器のお世話になっている。
この頃の補聴器は
マイクも小さく外観も目立たず良く聴こえる。
小声で話す可愛い孫とも会話が出来て
幸せな日々を過ごすことができ
技術開発のおかげだと感謝しているが、
この幸せを父にも体験させてあげたかった。
もっともっと話してあげればよかった
父はどんなに寂しい思いをしたのだろうか
と思うと涙が出てきて、
一人「ごめんなさい」と心でつぶやいている。
遠い昔の思い出でしたが
私にとっては父との唯一の思い出で
ついこの間のことのように懐かしく思い出している。
話は変わるが
最近父がそうしたように
耳に手を当てて聴いている人は見掛けない。
戦後60年補聴器の進歩の目ざましさに
今更ながら驚きと喜びを感じている。
また中国補聴器センター店舗で
明るく店員さんに迎えられお会いするのも
楽しみの一つで、気軽にアフターケアをして下さることに
感謝の気持ちでいっぱいです。
おわり
「涙が・・・」